保坂和志「小説の誕生」

先日鎌倉の本屋さんで保坂和志の「小説の誕生」を買ってみた。
これがかなりのヒットで、読み込めば読み込むほどひしひしとこの本を多くの人に、いや美術に関わっているすべての人たちに読んでもらいたいという気持ちがわいてきたのである。
せっかくなので、この場をかりて少しではあるが「小説の誕生」の部分を抜粋してみる。
『小説は現実の世界に対して閉じてはいけない。それは考えることを放棄してただ作品を書くことでしかない。世界がどういうものであるかを考えるための方法や道具を作り出すのが小説で、世界とは自分の働きかけに応えてくれないものであるという前提で生き、それでも世界に働きかけつづけるにはどうしたらいいのかを考えるために小説がある、というのが私の小説観だ。』
もちろんここで言う世界とは、私的で簡単にイメージで括ることができる世界ではない。それはまさに現実であり、言い方を換えれば広大な現実空間とも言える。
私はこれからの美術を考える上で、私的なイメージを吐露していくことはもうやめよう!と言いたい。(またそれを共有したいという願望)いくら私的なイメージを吐露し世界に働きかけても、保坂和志の言うように世界はたぶん何も応えてくれないのだから。もうこの際イメージに固執したり依存したりするのはやめてまっさらな状態で世界と向き合ってみては、それじゃまっさらな状態って何?と聞く人がいるかもしれないが、その疑問じたいが世界に働きかけつづけるにはどうしたらいいのかを考えるということであり、そのために美術があるように思える。
(イッセイ)
1 Comments:
はじめまして、中嶋と申します。
その通りだと思います。
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